第2章 私が貴方を好きになる迄の話。
「玄弥君、手汗凄いけど大丈夫? 」
「も、文句あるなら離せよっ!!!!」
「やだ、私決めたもん。」
むしろ、__へにゃり。と嬉しそうに
微笑んでくれるだろうと、そう思えたから。
「……はぁ……今度は何を言い出すんだ?」
「………んー、今は内緒。」
「…何でだよ、教えてくれよ。」
私はこの日に決意したんだ。
「やだ。今言ったら玄弥君手離しちゃうもん。」
「…な、なんなんだよ一体…。」
この困り顔も、結局手を離さない優しさも。
全部私が守り抜いて幸せになるんだ。と、
私は帰路をゆっくり歩きながらそう決めた。
「(カナエさん、私頑張りますね。)」
「…、何笑ってんだ?」
「んー、ふふっ。手汗が凄いなぁって。」
「な、なら離せば良いだろ!!」
「やだよ、繋いでいたいもん。」
そんな、暖かくて少し寂しい夕暮れ時。
____コレが、私が貴方を好きになる迄話。