第2章 私が貴方を好きになる迄の話。
「…とっても優しくて…とっても綺麗で。」
ふんわりと笑って、
『ちゃん、えらいえらいっ。』と
よく頭を撫でてくれたのを覚えている。
「しのぶと、凄く仲が良くてね。
カナエさんのお陰で私達、仲良くなったの。」
カナエさんに『しのぶと仲良くしてあげてね。』と
紹介されて私としのぶは友達になった。
あんなに可愛くて綺麗で仲の良い姉妹を
私は見たことがない。
2人が花のように笑うのを見るのが
私はとっても好きで、よく一緒にふざけ合った。
「…私も、お姉ちゃんみたいに思ってたんだ。」
本当は心の中でそう思っていた。
幸せな家族を知らない私にとって、
姉のような母の様な。
カナエさんはそんな大切な人だったんだ。
「色々あったんだな。」
「…うん。色々あったんだよ。」
玄弥君の短い感想に心底安心をした。
根掘り葉掘り話すのは柄ではないし、
そんな口にする様な内容でもないと思う。
それを『分かってるよ。』と伝える様に
優しく抱きとめて背を撫でてくれる彼は
本当に素敵な人だと思う。