第2章 私が貴方を好きになる迄の話。
□鬼喰いの男の子
_____玄弥君は私の初めての弟弟子だった。
◆◆◆◆◆
「え?弟弟子、ですか?」
「あぁ…。呼吸が使えぬ鬼喰いだ。」
「鬼…喰い…?」
彼の話を聞いたのは雨の夜のこと。
聞きなれない【鬼喰い】という言葉に
私が首を傾げていると、悲鳴嶼さんは
私の頭を癖のように撫でながら
ゆっくりと言葉を吐き出した。
「…鬼を喰らうとその鬼の血気術が使えるようになり、尚且つ身体が一時的に鬼となるそうだ。」
「そんな事…あるんですね。」
「それから、直ぐに分かってしまうだろから隠しはしないが、不死川の弟だ。」
「実弥さんの?」「…あぁ。」
実弥さんの弟だと伝えてから、
悲鳴嶼さんは珍しく微妙な顔をしていたので、
私は思わず笑ってしまった。
「大丈夫です。余計な詮索はしませんよ。」
「そうか、は物分りが良くて助かる。」
ココはそういう所だ、
きっと皆それぞれ訳がある。
人に言えないことも貫きたいことも沢山あるから。
「そういう場所ですから。」
踏み込まないように、一定の距離をとって。
それが一番いいんだと私はそう思っている。