第4章 …ねぇ。もしかして、泣いてる?
まだ全く本番じゃない、リハーサル段階だというのに。
会場の空気は、もうTRIGGER色だ。
私は確信した。これなら、いける!
ブラックオアホワイトの優勝は…彼らが獲る!!
『リハーサルお疲れ様でした。私は最終でちょっと詰めたい事があるので、打ち合わせに出て来ます。
まだ開会までには時間があるので、一度衣装も脱いで どうぞ楽にしてて下さい』
私はやや早口にそう伝えた後、リハーサルで気になった点をまとめたメモを持って楽屋を出た。
「なぁ、天、龍。
あいつ…なんか、明らかに俺達と距離取ろうとしてるよな」
「…うん。俺も思ってたよ。俺達と 故意に親密にならないようにしてる感じだ」
「まぁ…ボクはそれでも良いけどね。別に仲良しクラブじゃないから」
「そんなの俺だって分かってる。けどな、なんか嫌だろ。よそよそしい感じとか」
「ちょっとアンタ達ねぇ。さっきから聞いてれば…。
あと少しでブラホワよ!?ブラホワ!それなのに訳の分からない話ばっかり…」はぁ
「姉鷺さんは、何か知ってるんですか?彼が、俺達と距離を置きたい理由」
「…」ぅ、声かけるんじゃなかったわ
(そりゃ色々あるでしょうね…。女である事がバレないように。とか?ずっと一緒にいるわけじゃないから仲良くなりたくない。とか?あとは…社長命令でもあるし…)
「おい、その感じ…なんか知ってんな姉鷺」
「い、いや…まぁでもほら!私の口から聞いたって意味ないでしょ?貴方達が気になるなら、彼に自分達の言葉で伝えなさいよ。そしたらきっと答えてくれるでしょ」知らないけど
「……まぁ、正論だよね」
「…」ふぅ、誤魔化せた…?、
「…とりあえずは、目の前の大仕事だな。奴を問い詰めるのは、きっちり結果出してスッキリした後にするか」