第3章 今の寝言は、特別に…聞かなかった事にしてあげる
『私は、結果至上主義ですから…本当は、こんな事を言うのは意志に反するんですけど…。
九条さん。貴方には私がついています。
私が、貴方を TRIGGERを、完璧なかたちでブラホワのステージに送り出しますから。だから…。
どうか、私の知り合いと同じ道を行かないで下さい』
天の、淡いピンク色をした瞳。ビー玉みたいに綺麗なその瞳が、私を捉えている。
しっかりと私の想いを受け止めるように。
「…ボクが努力を続けたって、その人のようになるとは限らないよ」
『……』
「まぁでも、そんな言い方をされたら…今日は諦めるしかないかな。
初めてだからね。
…キミから、命令じゃなくて “ お願い ” されるのは」
『…九条さん。ありがとう、ございます』
すると天は、照れたように ふぃと私から視線を外した。
こういう仕草を見ていると、やっぱり彼も歳相応なところがあるのだな。と感じる。
『あぁでも安心しました…。もし九条さんが、この話を聞いても練習を止める気が無いなんて言ったら私は……』
「……なに。気になるところで止めないでよ」
『オトしてでも、ストップさせる気でした』
「オト…っ」
『あぁ、大丈夫ですよ?私そこそこヤれるので、痛みとかは全く感じさせませんから』
そう言って、私は素振りで手刀を繰り返す。
「や、やめてくれない…なんだか色々台無しなんだけど」
天は言いながら、レッスンルームに置いているタオルやドリンクなどをまとめる。
「なんだかお腹空いたな…。せっかくだから何か作ってよ。最近ロケ弁ばっかり」
『良いですよ。何か、喉に優しい物を作りましょう』
「…ふぅん。例えば?」
『…そうですね…何かこう、ぬるぬるとしたものを』ちゅるんといけるやつ
「…食欲無くなって来たかも」