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引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第2章 …なぁ。俺達、どこかで会ったか?




「ほら食えよ。曲が出来るまでに倒れられでもしたら、こっちが迷惑被るからな」

「ボクは、自分の分を買うついでに買っただけだから」はい

「俺も買ってきた。どれだけ忙しくても、ご飯は食べないと!」


俺達はそれぞれ買ってきた物を、袋ごと渡す。

相変わらず演奏席から離れようとしない中崎だったが、袋は受け取った。


『…わざわざ、ありがとうございます。でも私…

さすがに おにぎり9個は食べられません』

「「「………」」」


どうやら、全員買った物が被ったらしい。


「その、ほら、なんだ!
…色々、具の、レパートリーとかもあった方がいいだろ?」

『全部梅です』

まさかの具材まで全被りかよ。


「……疲れた時は、梅かと思って」塩分

「俺も…同じく」面目無い




よっぽど腹が減っていたのか、中崎はがっつくように おにぎりに食らいついた。

「おい、ゆっくり食えよ」

「あ、はい!これお茶」

「そんなにお腹空いてたなら、なんでもっと早く食事取らないのさ…」

『………』ぐぅ

「食いながら寝るな!!」


俺は思わず中崎の後ろ頭を殴ってしまった。


『はっ…』

「凄い良い音した…」ぷ、

『い、今の衝撃で…なんか良いメロディが浮かんだ気が!』


中崎は勢い良く鍵盤を叩いた。


「…ピアノの上に物置いたらキレるくせに…米粒ついた手で鍵盤触るのは良いのかよ」

「はは…まぁ、本人が楽しそうにピアノ弾いてるから良いんじゃないか?」


おにぎりを咥えて、嬉しそうにピアノを弾く中崎は

今までの印象とは まるで違って見えて。


とりあえず 音楽に対しては俺達と同じように、真剣に 真摯に向き合っているんだと。

俺はこの時初めて少し安心した。




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