第49章 天にぃとラブラブだぁ
三月が、進行用のフラットファイルに視線を落とす。が、すぐに ぱっと顔を上げる。
番組のほとんどの流れが、彼の頭には入っているのだろう。
「九条さんに会ったら、やっぱまずは “ あの言葉 ” を言わないとな!
ってことで、せーの…」
おめでとうございます!と、メンバー達は声を揃えて言った。
…ナギ以外のメンバーが。
「プリンス賞の、最優秀賞獲得。さすがだよな。
そうだ。なぁ、なんか王子っぽい事言ってみてくれよ」
「おいこらっ、大和さん!無茶振りしない!」
「ありがとうございます。とても名誉ある賞だから、少し恐れ多いけど…皆んなが応援してくれた結果ですから。とても嬉しいです」
意外なほど、台本通りに進行していた。
天が陸から聞いた話では、この番組は 台本通りに行くことの方が稀。とのことだが。
やはりゲストがいる分、破茶滅茶にならないよう 気遣ってくれているのだろうか。
しかし…ただの一言も喋っていない ナギが気になる。どうやらそれは三月も同じようで、彼の姿に時折 視線を送っているようだった。
そして、ついに決心は固まったようで。意を決してナギに触れに行った。
「王子キャラなら、TRIGGERだけじゃなくてウチにもいるんだけどなぁ。
なっ。ナギ!」
「………」
「無視かよ!!」
ムスッとしたままのナギに、ビシっとツッコミを入れる三月。堪らず一織がフォローを入れる。
「六弥さん。聞こえているんですか?
優秀賞だって、十分立派だと私は思いますよ。だから、仕事して下さい」
『……』
(辛辣だなぁ)