第7章 ツノ太郎と監督生2
「そんなに可笑しいか?」
「可笑しいというか、想像するとワクワクするんだ。友達に友達を紹介するっていうのが」
「……友達?お前は僕を友と呼んでくれるのか?」
「当たり前だろう?じゃなければ毎晩遅くまで本を読んで待ってたりしない」
もちろん勉強の為、というのもあるので純粋にツノ太郎だけの為だけではないが、こうやって星空の下2人で話すのはにとっても楽しみであった。
の言葉を聞いてツノ太郎自身はどう思ったのか、また俯いて何かをジッと考えていた。
それからゆっくり立ち上がると、椅子に座っているの足元に膝をつき、そっとの手を取った。
「……お前が僕の傍にいる限り、僕はお前のために何でもしよう」
そう言って、誓いを立てるようにの手のひらにキスをした。
ちょっとくすぐったいキザなその行動も、相手がツノ太郎だと思うと何故か納得できた。もしこれがエースやデュースだったら、大声で笑い飛ばしていただろうが。
「さて、もう夜も更けた。僕はそろそろ帰るとしよう」
「ああ、気をつけてな」
「……名残惜しいな」
ツノ太郎は最初の夜の様に、ちょっとくすぐる様に長い指での頬を撫でると、寂しそうに笑い、次の瞬間には姿を消してしまった。
は誰も居なくなった寂しいテラスで、キスされた方の手を僅かに動かしながら、小さくため息をついた。