第5章 感激テレフォン
「エース、ちょっとそこで待っていろ!デュース、使い方の説明を頼む」
「あ、ああ……分かった」
デュースから電話の使い方を教わると、はわざわざその場から10歩ほど後ろに下がってスマホを操作した。そのすぐ後に、エースのスマホが鳴る。
「もしもし、?」
「もー!しー!もー!しー!?エーースかーーっっ!!?」
馬鹿みたいにスマホに向かって大声で叫ぶに、エースとデュースは思わずズッこけそうになった。帰省のため鏡の間に集まった生徒達も、いったい何事かと振り返っている。
「お前バカか!?そんなデケー声出さなくても聞こえるっての!!」
「そ……そうなのか。すまない、実は電話をかけるのは初めてで……」
「電話でこれとは……先が思いやられる」
異世界から来たに、こちらの世界の常識が通じないことは多々あったが、まさか電話での話し方すら知らないとは思っていなかった。
は汚名返上のため「もう1回、もう1回やらせてくれ」とエースに懇願し、先ほどデュースに教わったとおりスマホを操作した。
「も、もしもし……エース、聞こえるか?」
「おー、聞こえてるよ。ってか、今度は少し声が小さい」
「そうなのか?う~ん、なかなか難しいな」
さっきみたいな失敗をしないように声を潜めたら、今度は小さすぎたらしい。
傍で見守っていたデュースは、困っているに「普通の声で話せば大丈夫だ」とアドバイスを送った。
「よし、分かった。え、えー……エース、こ、これでだだだ大丈夫か?」
「かなりマシになったけど、なんでお前緊張してんの?声が震えてるんですけど?」
「あ、いや、その……ちょっと興奮と緊張が入り混じって大変なことに……」
「お前は変態オヤジか!?」
スマホから微かに聞こえるの吐息に、エースはちょっと気色悪さを感じた。
本当なら、折角もスマホを手に入れたんだから、デュースとと3人で楽しくやり取りをしようと思っていたのだが、この調子では先は長そうだ。
「取り合えず使い方は分かっただろ?もう切るぞ」
「まままま待った!ホリデー前に、エースに1つだけ伝えたい事があるんだ」
「……なんだよ」
「お土産を買ってきてくれ」
「ざっけんな!」