第1章 鈍感フレンドシップ
リドル寮長にはめられた首輪を外すため、エースとデュースは寮長に決闘を申し込む事にした。
……のは良いのだが、2人はさも当然のようにオンボロ寮の、しかもの部屋で作戦会議を始めた。
「つーか、どうする?魔法以外での決闘は禁じられているんだろ?」
「エースの風の魔法と、デュースの召喚術じゃ頼りないんだゾ」
「何か良いアイディアはないか、?」
「そもそもお前らがここにいることが私には疑問で仕方がないんだが?」
別の寮生であるとグリムに決闘の権利はない。
だからエースとデュースのどちらかが勝ったら、首輪を外してもらう約束はしたが……だからって宿を貸す約束をした覚えはない。
この間、情け心を出してエースを泊めたのが悪かったのか、今回はさらにデュースまで当然のように居座っているから性質が悪い。
が不満全開の顔で睨むと、エースは呆れた声を出した。
「何だよ冷てえなー、お前。ちょっと部屋借りてるだけだろ?」
「他の部屋があるだろう。せめてそっちへ行け、私はもう寝るんだ」
「この部屋以外はホコリだらけなんだ、頼むから居させてくれ」
まあ確かにこのオンボロ寮に来てから、この部屋以外はろくに掃除をしていない。
――と、言うかが掃除などするわけがない。
旧家のお嬢様育ちのは、そんなものは屋敷しもべにやらせるものだと、芯の芯から思い込んでいるからだ。
むしろ、この部屋だけでも使える様にしただけ褒めてもらいたいくらいだ。
「仕方がない、私は優しいから一晩10マドルで手を打ってやろう」
「あ~、そういうこと言うんだ?良いよ?俺も明日の決闘で寮長に勝ったら10マドルでその首輪外してやるから」
「チッ……足元見やがって」
「どっちがだよ」
雰囲気は全く違うが、なんだかエースと話していると、金髪オールバックの幼馴染を思い出す。そう言えばあいつとも、よく下らない口喧嘩をしたものだ。
その幼馴染のいる元の世界に帰るためにも、どうにかしてこの厄介な首輪を外してもらい、魔法を使えるようにしなくてはならない。
はため息をついた。