第3章 絶叫オールドメイド
「お2人共、準備は宜しいですか?」
「じゃあね~、小エビちゃんとアザラシちゃん。ばいば~い」
友人達の頭に生えたイソギンチャクを取ってもらう事――もとい、得意魔法を返して貰うことを条件に住処であったオンボロ寮を担保にした所為で、あっさりと宿無しになってしまったであった。
「どうするんだゾ!?お前の考え無しの所為でオレ様まで野宿なんだゾ!?」
「うるさい、グリム。こうなったら一蓮托生だ、諦めろ」
ハッキリ言って、の辞書に反省や後悔と言った文字は無い。いつだって出たとこ勝負だが、そうやってこの4年間ホグワーツで過ごしてきたのだ。
ハリーと一緒に『例のあの人』と対峙した時だって、ちゃんとした策はなかったが何とかなった。
だから今回だって何とかなるだろうと言う、よく分からない自信はあった。
「まあ、あれだ。最悪学校に忍び込もう」
「忍び込むって、どうするんだゾ?」
「窓でも割れば良いんじゃないか?ホグワーツと違って、城に結界とかなさそうだし」
「お前、サラッと怖い事言うんだゾ……」
この常人では普通しようとしない事をするのが、・という人間である。
これで仮にも良家のお嬢様だと言うのだから、彼女を育ててきた屋敷しもべ妖精の苦労がうかがえるってもんである。
が本気で学校に忍び込もうと荷物を持って歩き始めようとしたら、反対側の道からバタバタと複数の足音が聞こえてきた。
「おーい!、グリム!」
「エース?それにデュースにジャックまで?」
「2人とも大丈夫か!?」
「お前ら、良いところに来たんだぞ!!」
グリムは悪気もなく「これで助かったんだゾ~」と言って彼らのところに飛んでいった。流石に犯罪の片棒を担がされたくはなかったらしい。