第1章 あほの坂田(となりの坂田)
いつだって、そんな言葉をくれる人なのだ。
溢れ続ける涙をこぼしながら彼の言葉に耳を傾ける。ゆっくりと彼の額が自分のおでこにあたり、そのまま一瞬だけ互いの唇がふれた。
その感触を確かめるかのように、さわるだけのキスが何度もふりそそぐ。
「やばぁ。これあかんやつや…」
苦笑いをしながら、えへ?っとあざとい笑みを作る。その可愛い仕草とは相反するグロテスクな容姿のモノが私の太もも付近で主張しはじめた。
「……勃っちゃった」
まるで園児が久しぶりにお漏らしでもして、困って母親に訴えるような。なんとも無垢で邪気の無い声。その声で、とんでもない台詞を口にした。
「……坂田さん」
「仕方ないやん。体はいつだって正直なもんや」
「なぁ?」と誰に向かってか、合意を求めるように問いかける。天然ゆえに成せる技なのか?
この、ホワホワとしたとてつもなく力の抜ける雰囲気が自分の母性をくすぶってくるのがわかる。
つい、どんなことでも『良いよ』と言ってしまいそうになる。
けど、それもいいのかもしれない。こうして流されて、もう少しだけ彼に甘えていたい。彼の体温を、感じていたい。
坂田さんの硬直したそこにそっと手をふれる。改めてさわってみると柔らかな皮膚の感触に反するように硬くなっている。
そして思った以上に太い。でかい。こんなものが自分の中にはいっていたのかと些か信じられない気持ちになった。
「急に積極的になるやん。びっくりするわ」
私の手の体温を感じとった彼が一瞬ビクリと反応した。指先でなでていた私の手をとり自分の欲望へ直接、押し当てる。
あつい、彼の熱を手のひら全体で包んだ。彼の手に促され、それを上下にゆっくりと動かす。