第3章 運も実力のうち…だそうです。
バチッ、と頭の中に火花が走るような感覚が走った。
何処かで何かと、繋がっていくような…
とてもか細い、けれども強くキラキラと輝く光の糸が様々な景色や何かの想い出を縫うように薄暗い空間を進む。
(…脅えないで…)
すると、何かがその糸を控えめに掴んだ。
(…大丈夫。私と、一緒に戦おう)
光の糸が進む速度が上がり、出口らしい場所が見えた時に眩い光に包まれ視界が途切れた。
勢いよく目を開いた依織の前には、妖精の一人が捧げ持つ短刀があった。
今の情景は何だったのか…と思いながらも、目の前にある短刀に優しく触れてみる。
すると一瞬にして光と桜に包まれ、現れたのは小さな可愛らしい少年。と、白い五匹の子猫。
「僕は、五虎退です…しりぞいてないです…虎がかわいそうなんで」
どうやら子猫ではなく、子虎らしい。
「おお、初短刀は五虎退さんですか!おめでとうございます審神者どn」
「めっっっちゃかわいいい」
そう言うと五虎退と同じ目線になるように依織はしゃがみ込む。
「初めまして!この本丸の主やってる彩乃依織です!これからよろしくね、五虎退ちゃんっ。虎くんたちもよろしくねえ~」
おいでおいで~と手招きすると、子虎たちは不思議そうに依織に寄って来ると、数秒でじゃれつき始めた。
一匹ではなく同時に五匹なので子虎でももみくちゃ状態である。
「あわわっ、虎くんっ…あるじさまにおいたしちゃダメだよ」
「くすぐったあああい アハハハハハ」
まるで何処かのどうぶつ王国にいる気分を味わっていた依織だったが、再びまた頭の中に火花が散る感覚が走る。
光の糸がまた何処かへと伸びて進んでいるのだが…先程とは全く違い景色などは無い。
否、あるにはあるが…暗く寂しく重苦しくも感じる。
その中に、ふっと湧き上がっては抑え込まれているようなとても強い霊力の波を感じた。
(拒まれるのが怖い…?だから近づかないようにしてるの?)
来ないでくれ、とそれは拒んでいた。
(ううん、私は怖いと思わない)
徐々にその霊力の源が近づいていた。
感じる波も強まっていく。
(私は、あなたに逢いたい。一緒に…来てほしい)
すると吹き飛んでしまうような強い奔流に煽られ流されていく中で、何かが糸を掴むのを感じて視界が眩く開けていく。