それでも私はかの君を愛してる【twst・ハリポタ】
第2章 捕らわれ堕とされる
たまたまオクタヴィネルの寮に式典服をしまっていてよかった。
そんなことを思いながら、タオルドライした髪をくるりとあげる。
一旦まとめておけばいい。
まずは着替えないと、ジェイドのアイスティーを素裸で受け取ることになってしまう。
初めてクローゼットから取り出したドレスは、Theクルーウェルカラーだ。
あの人らしいと苦笑いしながら身につけていく。
ワンショルダーのマーメイドドレスは、スノーの綺麗なボディラインを引き立てる、見事なデザインだ。
足首がチラリと見える丈は、なんとも高貴なイメージだ。
胸元が白と黒のバイカラーなあたり、クルーウェルの趣味が反映されているのだろう。
みんなとお揃いのローブを羽織ってみれば、上手いこと白いスカート部分だけが見えるようになっている。
他のみんなが黒のパンツなのに対して、真っ白なマーメイドラインの綺麗なコントラストになるように考えられているデザインに、思わず唸ってしまう。
ふわふわな羽織るファーもあるが、今日はローブがあるので必要ないだろう。
思えばドレスを着るのは、こちらの世界に来てから初めてかもしれない。
スノーは久々の高いヒールに、そっと足を差し込む。
サイズが、測ってもないのにピッタリなのにももはや驚かない。
そして鏡の前でくるりと回ってみる。
一言で言うならば、さすが美意識高めなクルーウェル。
お見事完璧、な式典服である。
「スノーちゃーん!
入るねェ。」
ノックもせずに突然扉を開けるフロイドに、髪を乾かす前に着替えて正解だった、とスノーはため息をついた。
「ノックはどうしたの、ノックは…。」
「そうですよフロイ……」
フロイドを諌めるジェイドが言葉を失った。
「スノーちゃん…きれー…」
ポカンと間抜け面を晒す双子が、なんだかとてもおかしくて、スノーはクスクスと笑ってしまった。
「なーに、2人とも。
どうしたの?」
「いえ…とても素敵ですよ、スノーさん」
「えー、スノーちゃんお姫様みたい…」
「大袈裟ね。」
こんな穏やかな時間が、ほんの少しだけ好きになった。