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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第22章 月と馬


ー赤葦sideー





洗濯室から物干し場まで歩きながら話した。
今は、俺は石に腰掛け、穂波ちゃんは洗濯を干し始めたところ。







「どんな人、か…」

『アバウトすぎて難しいよね、でも、なんか、どんな人なんだろう?って』

「…じゃあさ、穂波ちゃんにとって俺はどんな人?」

『えっ あ、そうだよね、答えのサンプル的な。 …んーと』

「………」

『知的で、穏やかで、でもどこか突き抜けてて、魅力的な人。
京治くんと話してる時間は、何だろうな、海の底を歩いてるみたいな気分。
静かで、穏やかで、深くて、安心する。
あ、雪が深々と降る感じにも似てるかな』

「…そっか。嬉しい。ありがとう」

『いえ、とんでもないです。いつもありがとう』

「俺の好きな人はね、そうだな… 一緒にいても、いなくても力をくれる。
そういう、パワーを持った人。
木兎さんは一緒にプレーしてなくても、
見てるだけの人たちにも何かしらのパワーや印象を与える人だと思うんだけど。
それと少し、似てるかな。 …まぁ、女性だし全然違うのだけれど」

『うんうん』

「…可愛らしくて、綺麗で、花のようだなと思う時もある。
暖かくて、陽だまりみたいだなとも思うし。
すごくシンプルな子なんだけど、どこか掴めなくて儚くて、風のように感じることもある。
だから、いろいろな時に思い出すよ。その子のこと」

『…わぁ………会ってみたいなぁ。もし、いつか機会があったら、是非、紹介してね』

「…あぁ、うん。 そうだね。 いつか」






俺が想いを告げたときが、その時になるのだろうか。






「今日、帰る前に本、渡すね」

『うん、ありがとう。あ、京治くん、住所教えてもらってもいい?』

「…?年賀状?」

『…笑 そだね、ちょっと早いけどその時にも必要だし…
合宿の後でわたし、タヒチに旅行に行くんだけどね、葉書送りたいなって。
いま、ふと思った。迷惑じゃなければ』

「あぁ、うん。嬉しい。紙に書いて本に挟んでおくよ」





穂波ちゃんからの絵葉書。
それは、心が沸き立つものがある。

BBQのときにでも、メールアドレスか電話番号をと思っていたけど。

アナログに、ゆっくりでいいかもしれない。
幸い俺らは東京にすんでて、大会でも会うことはあるだろうし。






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