第20章 banana pancakes
ー研磨sideー
7月14日(土)
1日部活。
穂波もフラのレッスンの後に来て、
午後からの練習を手伝ってくれた。
身体の線が出た、
動き易いんだろうけど妙に色っぽいダンスの練習着で手伝おうとしたから、
せめて下だけでもってジャージを貸して履いてもらった。
今はクロと3人で一緒に電車の中。
クロ「今年はハワイ行かないんだ?」
『…それが、行かないつもりだったんだけどちょっと迷ってる』
クロ「…へぇ」
『冬休みに行こうかなって思ってたんだけど、春高って年始すぐなんだもんね』
クロ「…あぁ、まぁね」
『8月にタヒチに行くか、ハワイに行くか、宮城に行くか…』
クロ「そこに宮城くんのか 笑」
研磨「タヒチ?」
『…ちょうどお兄ちゃんが8月タヒチなの。…あとわたしタヒチアン習ってるでしょ、金曜に。
タヒチアン本当に楽しくって、ずっとハマってるから、それもあって行きたいなぁって』
研磨「行かない理由はなに?」
『…土曜日のレッスンのこともあるし………』
クロ「…………」
『…んーと』
クロ「…研磨といたいんだよな?」
『…………』
研磨「…え」
クロ「え って。笑」
そりゃおれも一緒にいたいけど、
でも羽ばたくようにいろんな国に行く穂波が好きだったりする。
穂波にはそんな環境があるわけだし。
『研磨くんといたいし、バレー部もたくさんみたいし…』
研磨「え、いいよ。これからも十分一緒にいれるし。
バレーはまぁ、合宿とか放課後とかいくらでもみれるでしょ。
行けるなら行っておいでよ。
ダンスのレッスン現地で受けるならクラス休講するのも全然ありなんじゃないの?
…って別に相談されたわけじゃないけど」
『………』
研磨「最近泊まれなかったし、練習続きだからちょっと恋しいだけだって。
多分、明日の朝には、行くって言ってるんじゃない」
クロ「研磨クン、俺がいるの忘れてる?それともいるってわかっててスルーしてる?」
研磨「…………」
クロ「あらやだ、今日これから明日の朝までになにが起こるっていうの?」
研磨「…クロ」
クロ「…はい」