第19章 みかん
ー黒尾sideー
「…ご一緒しても良いでしょうか」
海や夜久と座ってたら、
珍しく赤葦がトレーを持ってやってきた。
黒尾「おぉ、どうぞ〜」
赤葦「失礼します」
夜久の隣に座る。
イメージ通り行儀良くメシを食べていく。
いきなりここに来ておいてなんも喋らず丁寧に食べてやがる…
こいつって本当…
黒尾「うまいな、メシ」
赤葦「あ、はい。美味しいですね、とても」
黒尾「…なんか朝の続きでも話すのかね?」
赤葦「あ、はい。食事中ですが良いでしょうか」
黒尾「食事中に来たんだろ、お前が。 どーぞどーぞ」
赤葦「………あの、穂波ちゃんのことなんですが」
黒尾「はい」
夜久「なんでお前のとこに話に来てんだ?」
黒尾「…さぁ?朝、ちょっと話したからじゃね」
赤葦「穂波ちゃんと黒尾さんはどういう関係なんでしょうか?」
黒尾「…抱き合った関係」
夜久「馬鹿!お前、聞いてきてんのリエーフじゃなくて赤葦だぞ!」
黒尾「…だったらどーする?」
赤葦「いえ、どうもしないんですが…」
黒尾「………」
赤葦「抱き合うというのは、今朝言ってた愛し合うということでしょうか?」
夜久「………」
(ガチで誤解招いちゃってんじゃねーか)
黒尾「…ぶひゃっ 笑 わりぃ、ちげーよ あれは言葉のあやだ コトバアソビ」
赤葦「…というのは?」
黒尾「俺と穂波ちゃんはそういう関係じゃねーよ。赤葦と一緒でハグするくらいの関係」
赤葦「…あ、そうなんですね」
黒尾「…………」
赤葦「…………」
黒尾「わりぃな、せっかく意を決して来てくれたのに、話続かなくなっちまったな」
赤葦「いえ、そんなことは… 今朝の黒尾さんの言葉で気付くことが多々あったので、
それだけでも十分すぎるほどなのですが、気になってしまって」
黒尾「俺と穂波ちゃんが付き合ってるかもって思っても、
その気付いた気持ちには変わりはなかったわけ?」
諦める、だとか
振り向かせてやる、とか
奪い取る、とか
こいつにはどれも当てはまんねー感じするんだよな。