第17章 GW
ー穂波sideー
去年の夏、
クロさんの口から烏野高校と猫又先生の話を初めて聞いたとき、
なんだか胸が高鳴ったのを覚えてる。
それから月日が経つ中で、
研磨くんからも猫又先生との出会いの話とか、
その時のクロさんの表情とかそれをみて研磨くんが感じたことも聞いたり、
日々のちょっとしたときの言葉や表情にクロさんが猫又先生をすごく慕っていることを感じて
3年生のうちに、実現するといいな。と漠然と思ってた。
…ほんとに、実現するなんて。
すごい。すごいすごい。
「穂波、よかったね」
『ん?』
クロさんが去った後、感慨に浸っていたら
研磨くんがそう言う。
隣をみると研磨くんが控えめに腕を広げてる。
『…ふふ。 うん!』
研磨くんの胸に飛び込む。
「なんで穂波がそんなに喜ぶのかやっぱりよくわかんないけど」
『………』
「おれらのこと、クロと猫又監督のこと、いっぱい想ってるんだろなってことはわかった」
『うん。 他人事だからこそ嬉しいこともあるのだ』
「…ん」
『練習に熱が入りそうだね』
「…あー、うん」
身体を離して、研磨くんの表情をみると
やっぱり。あまり嬉しそうではない顔をしてる。笑
どんな出会いとなるんだろう…
自分が直接経験するんじゃなくて、
人が人に出会った後の変化を近くでみるのっておもしろい。
お兄ちゃんや周平やカズくんと研磨くんの出会いもだけど、
それとはまたちょっと違うような…
…なんだかやっぱりとても楽しみ。
胸騒ぎが止まらない。