第16章 獅子
ー研磨sideー
月曜日、まだ新年度初日で体験入部の期間ですらないのに
2人の1年が部活に来た。
ポジションはMBとリベロ。
どっちも素直そうだし、ひたむきな感じ。
苦手な感じじゃなくてすこし安心してる。
『そっかぁ、すごいね。きっとバレーが大好きなんだね』
そのことを話したとき穂波がそう呟いてたけど、
実際そうなんだろうなとおれも思う。
そんな風に新学期が始まった一週目の金曜日。
いつもより早く朝練について、
クロもいなくて、
着替えて部室でゲームしてたんだけど
4月の上旬ってまだ寒い。
部室にいると寒いから、
外出て日向に行こうと思ってゲームをしながら扉のほうに向かうと
おれが手をかける前に扉が開いて
「チョイース ホァァァァ!!?」
虎が奇声をあげてガタガタと後退りした。
それで、言われた。
「その髪何とかしろよォォォ!!」
「貞子みたいで怖い!!」
「そんなんでゆらゆら歩いてたら皆見るぞ!」
……………。
「目立つぞ!!」
「!!?」
めだつ…?
目立つ 目立つ めだつ だつ だつ………