第15章 さくら
ー研磨sideー
目が覚めると、
やっぱり穂波はいなかった。
昨日のは非日常。
これが日常。
日常って言っても、穂波ん家に泊まりに来た時だけの日常だけど…
でもだからってこの、
朝起きたら穂波がいないってのに不満があるわけじゃない。
これはこれで良い。
階段下りるときにいい匂いするし、
まだ寝ぼけたところにもうとっくに目の覚めた穂波の笑顔が入ってくるのも良い。
いつも、があるから
昨日みたいなのが余計に、こう、
良いものに感じるんだろ。
朝食は、卵焼き、小松菜と油揚の煮浸し、冷奴、
昨日のゴボウとハムのサラダ、かぶとベーコンの味噌汁。
土鍋ご飯に海苔、梅干し、ぬか漬け。
安定の穂波の和食。
昨日の夜、美味しかったけどいわゆるジャンクフードだったし、
今朝の和食はなんかすごい沁みた。美味しかった。
穂波は今日、レッスンを教えてから午後は店番をするって言ってた。
おれは1日部活。
遅刻しないように家を出て、ゲームをしながら部活に向かう。
…週明けは1年が学校にいるのか。
3年がいなくて広々としてた校舎がまた狭くなるんだな…