第15章 さくら
『…サル』
「…ふ 笑」
『身体能力高いけど、着付けも茶道もできる』
「…遊び人の茶道家」
『わ!笑 いきなり世界が変わった気する』
「…うん」
『でも意外といいかも。粋で』
「…そだね、粋な感じ」
『いつも着流しを着て街をふらふらしてるんだけど、
高いところの物をぴょんぴょん登って取ったりとか… みんなのこと助けたりして。
頼まれたことは身体を使うことならなんでも器用にしちゃうんだけど、何してても遊んでるみたいで』
「でも実は、茶道だけじゃなくて、華道、香道に精通してる。 …書道は壊滅的」
『あはは! 剣道とか合気道とか… なんかそういうのもできてるといいな』
「じゃあ、それもう全部。弓道も。
いろんな戦士に一緒に旅しないかって誘われるけど、断り続けてる」
『…若干テキトーになってきてる感じがするけど 笑
でもだいぶかっこいい設定だね。 遊び人の様で実は…って』
「うん。 おれにはできない」
『んだね、いまのとこ遊児にしかできない』
「…心さんには出来そうな気がするけど」
『…! お母さん! …まぁ、確かにできそうだね。笑
でも親を入れだすとキリがないから一旦ここで満員てことにしようか』
「…ん、そだね あぁ、いっぱい喋ったら喉渇いた」
研磨くんは水筒を開けてお水を飲んだ。
…ほんと、いっぱい喋ってたもんね。
とっても楽しかったし、聞いていて、見ていて嬉しかった。
研磨くんは無意識にだろうけど、
普段からみんなのことをみていて、それでいて信頼してることを露呈してる感じだったし…
山本くんや福永くんに関してはほんとにストレートに表現してたというか…
未だに練習試合すらみたことがないけど…
試合中、研磨くんはどんな風なんだろう。
どっちのコートにもいる選手のことをよくみて
冷静に判断して指示を出したりするんだろうか。
…クロさんたちが部活にいるうちに、
音駒バレー部の試合や練習を少しでも多くみてみたい。
…そう思って、実は今年は夏にハワイへ行かないつもりでいる。
研磨くんにはまだ言ってないけど。
…ハワイはいつでもいける。
マヒナおばあちゃんが元気なうちに少しでも多く、と思うとつい気が急いちゃうけど、きっと大丈夫。