第14章 blooming
唇が離れると、
ふわーっと中庭を抜けるように風が吹いた
穂波の髪が靡いて揺れる
穂波は目を瞑って微笑んでる
やっぱ外で見る、穂波は一段と魅力的だな…
一層のびのびとする感じがある
ここは中庭だけど…
木とか青空とかそういうのがあるとこ
風が、ぬけるとこ。
『…はー、いい風だった』
「うん。 …穂波、最近海行ってるっけ」
『先週の月曜が最後。これは最近?』
「…さぁ まぁ、最近かな」
『明後日カズくんとカズくんのお父さんたちと行くよ』
「…そっか、よかったね」
『うん、嬉しい。研磨くんもいつか体験だけでも』
「…ん」
『カズくんのみてたらやってみたくなるかもね。 …気持ちよさそうにするからカズくん』
「…カズマが?気持ちよさそうに?」
『あー、ウキウキした感じとか チル〜って感じの気持ちよさそうじゃなくって。
スケボと一緒。 …飄々としてて、軽々としてるみたいにこっちには映って …なんていうか。
みてるだけでふわふわしてくる感じというか… んーーーー 是非、みてね』
「…うん。 あ、アキくんの大会ってどこで観れるの」
『わ。興味ある?』
「うん、アキくん観てみたい。 夜久くんもそう言ってたから休憩とか、みてみようかなって」
『あとでURL送るね。アプリとかでみれるようになったらいいのにね』
「…どれくらいの需要があるのか知らないけど、
スマホも普及してきてるしぼちぼち、そういうのも増えるんじゃない」
『…ふふ そうだね。うん。 …まだまだマイナーな競技だものな』
「…アキくんのスポンサーの名前聞いてびっくりした。 …すごいね」
『あはは!ね。すんごい車とか、すごい時計とか一時期貰っててね。バランスとるのに悶えてた時もあったよ』
「…へぇ」
『でもお兄ちゃんはお兄ちゃんだから。あんな感じ。…ほっとする』
「あ、うん。 穂波といる時みたいだった」
『…ほんと? 研磨くんにそんな風に言ってもらえるのは嬉しい』
「…穂波が一番だけど」
『…ん?』
「なんでもない。 …お茶もう一杯ちょうだい」
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