第12章 smh
『…研磨くんて優しいね』
「え、おれ今全然優しくないこと言ってると思う」
『そうかな、気休めの言葉じゃなくて、優しいと思う。
…あとわたし一年前まで少林寺習ってたの。
そんなにのめり込んだわけじゃないし、
だからどうってわけじゃないけど、一応、武道の心得あったり…』
「え。なにそれ。つよ。 あの電車の時とかどうして使わなかったの」
『…そんな急なことではなかったからな?…それに腕も動かなかった気がする
あはは、全然安心させれないね、これじゃ』
「…穂波、カズマに言ってたこと覚えてる?」
『…ん?カズくん? なんだろう』
「ヘルメットのことで、カズマが大事だから怖い、って」
『あぁ、うん。せめてヘルメットは、やっぱするべきだよね。
カズくんより小さい子の憧れにもなるだろうし…』
「…そういうことじゃなくて。 まぁそれもそうなんだけど。
穂波のこと大事だから怖いよ、おれも。
なんかあったらって想像すると」
『………』
「他の人に気持ちがいって、その人と仲良くなって笑ってる、とか
…まぁそれもいやだけど、でもまだ、ましっていうか。まぁしょうがないじゃん。防ぎようがないし。
でももし穂波が襲われたらしょうがないって思えるかなって思う だから何って感じだけど… 」
『………』
「あ、しょうがないでは片付けれなくても、だからどうってことはないから、隠さないでね。
なんかあったら頼って。 …頼れるようになるから。力では無理だけど、他にも色々あるでしょ。
…てか、これなんの話」
『………』
「…クロが変質者みたいになってる。笑」
『…笑 なってないなってない。でも流れでいくとそうも取れちゃう感じだったね、笑』
「…なんで少林寺やめたの?」
『先生が引退しちゃって。おじいちゃん先生だったんだけど。そのタイミングで』
「…なんで始めた?」
『お兄ちゃんが空手やってて。一緒にやりたかったけどフラの日と被ってて。
それで、まぁいっかってなってたんだけど、
少林寺もいい先生いるからって体験してみたら先生のことがすごく好きになった。小3の時』
「前から習い事いっぱいしてたんだね」
『…あ、そういうわけでもなくて、そのころはね………あれ、チャイム鳴ったかな?』
「あれ、どうだっけ」