第11章 暁
こたつでお茶とお菓子をいただきながら
アキくんと男の人が話してるのを聞いてる
アトリエでおれに話しかけてきたときより
砕けた雰囲気で、それでも丁寧な印象はなくならない。
この人が作ったものを買ったのか、って思うと
なんか、すごい。
ゲーム以外でいい買い物ってのをしたのは初めてかも。
穂波がプレゼントを義務みたいにしたくない、
って言ってた理由が分かる気がした。
アキ「………だよな?研磨」
考え事してたら話が振られてた
「え、なに。聞いてなかった」
アキ「研磨がやってるっていうオンラインゲームの名前」
…え、そんなこと話してたの
アキ「こいつもこう見えてゲーム好きだから」
アクセサリーをつくってる
朔さんという男の人も、
いろんなゲームをしてるみたいだった
ぽつぽつとおれも会話に参加してると
女の人が来て、包んだのを見せてくれる
深い紺の包みに
赤い紐のリボン
前、花束に選んだのと同じ葉っぱと実が添えられてる
…なんだっけ、これ
「…コアラが好きなやつ」
女「…? ……ぷっ 笑 うん、そうだね、コアラが好きなやつ。ユーカリだよ」
そう、それだ。ユーカリ。
「ありがとうございます。すごくいい。」
女「うん、よかった。君と穂波ちゃんのこといっぱい想いながら包んだ」
紙袋にお店のカードと一緒に入れて渡してくれる。
アキ「じゃ、そろそろいこっかな」
女「夕飯食べていけばいいのに」
アキ「…ありがと〜 でも今日は遠慮しとくわ」
女「今日は、ってもうすぐ発つんでしょ?」
男「まぁ、いいから。あんま引き留めなさんな」
アキ「おぅ、じゃあな。いろいろありがとう」
男「いや、見送るから」
外に出て、湧き水を水筒に入れた。
冷たくてすーっとする。
寒いけど、なんか気持ちいい冷たさ。
3人に見送られて車が出発した
18:00になる。
もう暗い。