第4章 矢印
ー研磨sideー
期末テスト最終日。
テスト期間が終わった。
テスト期間中、
毎日穂波さんと登下校した。
帰り、駅の近くの店に行ったり、
すこしベンチに座って話したり。
当たり前のようにおれの毎日の中に、穂波さんがいるようになった。
…今日から部活。
『研磨くんっ テストお疲れさま!』
「…うん、終わったね。」
『…まだ時間あるの?』
「…うん、クロが来るまでここに居る」
『それまで隣、いい?』
「…ん。」
穂波さんは隣の席から椅子を持ってきて、隣に座る。
ゲームをしてるのを覗いたり、窓の外を眺めたりしてる。
教室には穂波さんとおれしかいなくて、
すごく、静か。
「ゲーム、してみる?」
『…ん?ううん、わたしはいいよ。研磨くんがしてるの見てたい。
でも今度、一緒にできる簡単なのあったらやってみたいな』
「…うん。…うちにくれば、何かあるよ」
『…じゃあ、いつか、お邪魔させてネ。』
「…あ、今日、夏休みの部活のこと聞いとく。
明日にでも、はなそ。」
『うん、そだね』
「…穂波さん、今日、予定は?」
『今日は、家でのんびりしようかなって思ってる。』
「…のんびりってのんびり?」
ゲームから目を離して
穂波さんの顔をみる。
『…うん笑 のんびりってのーんびり。
いま研磨くんとしてる感じを、家でも一人で。笑」
花のようにかわいらしく、くしゃっと笑う。
目が合って、時間が止まったみたいになって。
…身をすこしかがめ、ゆっくりと顔を近づけ、
おれは、穂波さんにキスをした。