第3章 歩み
「ま、引き続き見守らせてもらいます〜
進展あったら報告よろしくっ」
『うん!見守ってくれてありがとう。』
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五限は体育。
雨なので体育館でバスケットボール。
壁にもたれかかってる研磨くんのとこに行く。
『研磨くんっ バレーボール持ってきた。』
「…え。いまバスケ…」
『でもなんか、研磨くんとバレーボールの図がみたくって』
「……パス、する?」
『うん!でも下手でいやになるかも。笑』
「…いいよ。部活じゃないし。」
少し距離を置いて、研磨くんとパスをしながら話をする。
研磨くんはだいたいいつもゲームをしてるから、ちょっと新鮮な時間。
「…バレー、やってた?」
『ううん、でも従兄弟に付き合ってこういうのはしてた。』
「…県外の、バレー部の?」
『そうそう。同い年なんだけど、賑やかな子でね、宮城県だから滅多に会わないんだけど。
宮城のおばあちゃん家にいくと、一緒に遊ぶ』
「…宮城…高校、名前は?」
『どこの高校だろう?全然知らない。宮城に知り合いがいるの?』
「…いや、音駒のバレー部と縁のある学校が宮城にあるらしくて」
『…へぇ、縁のある学校、かぁ。なんてとこ?』
「烏野高校」
『からすのこうこう。夏休みに宮城行くからきいてみよっと』
「…宮城にも行くの?」
『うん、おばあちゃんの家に。
あ、ねぇテスト終わったらさ、研磨くんの夏休みの予定聞かせて?
会える日があるかなぁって』
「…うん。部活ばっかりだけど…クロに確認しとく。」
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芽衣「もうずっと前からの仲です、ってくらい、自然な様子で一緒にいるよねぇ。
引き寄せ合う、ってこういうこと言うのかな。」
ひかり「ほんとだ、また一緒にいる。引き寄せ合う、か。
まぁ、でも穂波が近付いて行ってる、っていう風にも思えるけど」
芽衣「きっかけはそうなのかもしれないけどさ、
孤爪くんの普段が普段じゃん?
だから、あぁやって、一緒にいることを認めてる?受け入れてるってだけで、
孤爪くんも、十分歩み寄ってるんじゃないかな、とか。
なんか、不思議と見てて安心感あるんだよね」
ひかり「なるほど、確かに、歩み寄ってるのかも。」
芽衣「…引き寄せ合あってる」