第10章 2012
研磨くんの身体に倒れ込むと
そっと頭と腰に腕を回してくれる
動いたのと
あとちょっと暖房が効きすぎてるのもあって
汗ばんだ2人の肌がくっつく
少しの間そのままで
呼吸を整えるような
余韻に浸るような時間
思わずすんすんと首筋を嗅いでしまう…
「…あついね」
『…ん。ちょっと効きすぎてるかな』
「…汗かいた」
『ふふ。ぺたぺたするね』
研磨くんの顔を下から覗き込むと
顔を上げてキスしてくれる
「シャワーだとさむいかな。…けどお腹すいた」
『…ふふ。お部屋あったかくしといて、浴室でちゃんと拭いてでよっか。
おこたもあるし』
「…おこた」
『確かにお腹すいたね。…何時だろ。お母さんたち帰ってくるかな』
「…んー、多分まだじゃない。美術館の近くで食べるって言ってた。そんな近くないし」
『…そっか』
・
・
・
一緒にシャワーを浴びると
つい身体にふれたり
やっぱりキスしたり
抱きつきたくなる
でもエッチした後のシャワーって
なんか恥ずかしさがなくって
半分遊びみたいな、無邪気な気持ちになれて楽しい
…研磨くんはいつもと変わらないけど
でも受け止めてくれる
一緒に海、入りたいなァ
「…じゃあ、これ最後ね」
熱いシャワーを浴びながら
何度もキスをせがんでしまって、
研磨くんに諭される
最後と言われた一回を
味わうようにお互いに舌を絡めあって
唾液もお湯も口に入ってくる
『…ん。水いっぱい入ってきた。鼻で吸わなかったのすごいかも。笑』
「…お腹すいた」
そうだった。
研磨くんお腹すいてるんだった。
タオルを取って浴室で身体を拭いてから出る