第10章 2012
ー研磨sideー
《やった。じゃあ、お昼過ぎに伺うね。自転車でいく!》
部活の後携帯を開くと穂波からメールが入ってた。
昨日の午前中のフライトを予定してたけど
夜の便に変更して、昨晩穂波は台湾から帰ってきて。
今日は午前中の練習だから
午後から会えるってことで、おれん家に来ることになった。
部活に顔を出さないのも
穂波の家じゃないのも
おれとゆっくりしたいからだって。
かわいい。
穂波ん家にはいまお兄さんが帰ってきてるから
ちょっといつもと違うような
これがいつも通りなような。とかもごもご言ってた
台湾に行ってる間も
電話したりメールしたり
頻繁じゃないけど連絡はとってた。
ほんとに白い丸い花を台湾まで持って行ってて
満開になった日の夕方
サーフィンで海に出て
花を海に預けてきたって言ってた。
海に預ける。って言い回しとか
その行動全てが穂波らしくて
電話越しにすごく愛おしい気持ちでいっぱいになった
久々に会えるの楽しみだな…
・
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・
クロ「顔が緩んでるよ」
研磨「…なに?」
クロ「いやだから顔が…」
研磨「………」
クロ「…今日会うんだ?〇〇駅で降りるの?」
帰りの電車で話してる。
研磨「…いや、家帰る」
クロ「お、研磨ん家だ。俺もいっていい?」
研磨「だめ」
クロ「…笑 日に焼けて帰ってくるのかね〜
穂波ちゃんの日焼けした肌好きだわァ しっとりつやつや 触りたくな…」
研磨「…クロ」
クロ「はい」
家に帰ってシャワー浴びて、ごはん食べて、
リビングのこたつでゲームする
♪ピンポーン♪
穂波だ。
『研磨くん!』
扉を開けると花みたいに笑う穂波の顔がある。
…日焼けしてる。夏ほどではないけどなんか、懐かしい感じ
アイボリーのニットワンピースに黒いダウンを羽織ってる
久々にワンピース姿見た。かわい…
「…寒いから、入って」
『うん、お邪魔します。』
お茶を温めてこたつに持ってくと机の上で指が当たる
「穂波、手冷た…」
『手袋しないで自転車乗ってきたから…』