第8章 栗と飴玉
ー研磨sideー
誕生日が過ぎてからも
いい意味で相変わらずの毎日を過ごしてる。
新しいソフトが発売されて
それもすごい面白いし、
1日休みがあった日に2人で自転車で出掛けたりした。
近所のアイス屋にも行って、
寒い寒い言いながらアイスも食べた
アップルパイっていう、煮リンゴとパイ生地の入ったアイスがあってそれを。
穂波は望みどおり栗を。
おれが部活に行ってる間に
母さんとアップルパイを作ったりもしたらしい。
仲良くなってて変な感じだけど、まぁいいかなって思う
もう11月も半ばで今週末は文化祭。
穂波も特にイベントに盛り上がるタイプじゃないみたいで
頼まれたら、嫌な顔せずに準備を引き受けたりはしてるけど、
嫌なことは断ったりもしてるっぽい。
今日の体育はバレーだけど
ステージに座って見物してたら
コートに入ってた穂波が誰かと交代してこっちに来た
『明後日、クロさん誕生日だね』
「うん」
『ケーキ作ってきたらお昼休みとか食べれるかな』
「…昼か」
『学校ある日の部活終わりは遅いからなって思って。
研磨くんの誕生日は日曜日だったケド』
「…食べれるんじゃない?何作るの?」
『…何がいいかな?モンブランとかいいなって思うけど、冷蔵庫入れとけないしなァ。
なんかしっかり焼くやつ』
「栗か…いいね。クロ、普段おばあちゃんのご飯食べてるし、渋好み」
『…じゃあ栗でいこう!タルト食べたいな。またタルトにしようかな』
「…ふ 笑」
『?』
「食べたいなって」
『…思ったことが口に出ちゃうの』
「…ん。知ってる」
…で、おれは危うく穂波にキスしそうになってる。
さすがに授業中、しかもステージ上、と冷静になった。
アイテム装備は選択せず。
木曜、穂波のケーキ食べれるの楽しみだな