第7章 アイテム
『えぇ、何で研磨くん笑うの〜』
研磨「…だって、慌ててる穂波、面白い」
『………』
そうだ、慌てて喋るわたしのことを
研磨くんが面白そうにみてること、何度かあった
研磨「訂正。…かわいい」
『……まだ顔にやけてるもん。笑』
研磨「だって、こんな騒がしい家初めて見た
…って、ちょっとなんで」
お父さんとお母さんの方に目を向けると、
今度は2人とも目を押さえてる。
『ふぇっ!あれっ えっ』
研磨「…ふっ 笑」
研母「大丈夫大丈夫、こっちの話。
研磨、もう遅いから、ね」
研父「あぁ、気をつけてね。ありがとう。またいつでもおいでね」
『はい。お言葉に甘えて、また遊びにきます。
じゃあ、遅くまで失礼しました。 おやすみなさい!』
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研磨くんの家を出て、家の方向に歩き出す。
研磨くんは自転車を押しながら
『はぁぁーーー今日はなんて幸せな日なんだろ』
「………」
『…そうだ研磨くん、またさ、研磨くんのお家の近くのアイスクリーム屋さん行こうね。
季節の素材使ってるっぽかったし、今はなにがあるかな』
「…あ、そうだね。また行こ」
『ね、なにがあるかなぁ〜 栗とかあるかなぁ』
「……穂波、自転車持ってる?」
『うん、あるよ。自転車好き。風になったみたい』
「…今度、自転車でどっか行こ」
『うん!それすごくいいね。…ふふふ』
こんな幸せな時間を過ごしてもなお、
この先にも楽しみな約束をできるなんて、
至福。幸せすぎる。
2駅分の距離なんて 一緒に歩いてるとあっという間で
すぐに家に着いてしまった。
『…研磨くん、今日は幸せな時間をありがとう』
「…ん。…おれも、いろいろありがとう」
ぎゅっと抱き合って
優しくキスをして
「…じゃ、また明日ね。おやすみ、穂波」
『うん、気をつけて帰ってね。送ってくれてありがとう。…おやすみ
あっ、あと……』
「……笑」
『もう一回。 お誕生日おめでとう』
「…ふふ。 ありがとう。 じゃあね」
自転車に乗ってさーっと去っていく研磨くんの後ろ姿を見送って、家に入る。