第7章 アイテム
ー穂波sideー
みんなにお茶を配って、研磨くんの隣に座る。
美味しい、って言ってもらえて
にやにやが止まらない。
「ねぇ、穂波」
『ん?』
「…キス、しよ」
何も言われずにふいうちもどきっとするけど
こうして前置きみたいなのをされるのもすっごくドキドキする
『………ん』
「…もっとこっち、来て」
ドキドキが止まらない
ゆっくりと研磨くんに近付く
額を合わせ見つめ合う
研磨くんの冷静で綺麗な目に吸い込まれていく…
唇が触れるか触れないかのところで
研磨くんの吐息を感じる。
湿り気を帯びて生暖かい息。
こうしてると 欲しくなる。
欲しいけど、この時間は今は今だけで、もうちょっと味わってたい。
触れようとして、でもやっぱりもうちょっと…って
何度か繰り返してから
ゆっくり…やっと…研磨くんの柔らかい唇に触れる
『……はぁ…』
一度唇を合わせただけなのに、吐息が漏れてしまう
お互いの唇を優しく挟むように
ゆっくりと角度を変えて口付けを交わす
「…ふぅぅ………」
研磨くんの口から溢れる吐息に熱を感じる
目をみると、トロンと熱を帯びていて…
…………。
静かだな……
…………。
ばっ
二人同時に周りを見渡す
みんながいない。
お皿もないから、洗いに行ってくれてるのかな。
もう10月も中旬で、日が暮れるのが早い。
さっきよりずっと暗くなってる
「…いないね」
『…うん』
「…穂波、どきどきした?」
『………うん、研磨くんが欲しくて欲しくてたまらなくなった』
「………」
『…あ、クロさんたち』
向こうに置いてるかごのとこにクロさんたちが
多分、お皿を置きにきてるのが見えた。
クロ「もう終わりましたかー?」
クロさんが冷やかすように言う。
見て見ぬ振りとかしないから、逆に心地良い。
「…明日、うち泊まってく?」
『…ふぇ?いや、いやいやいきなりそんなっ』
「…笑 いきなり?どんな?」
『…んん。それはまだいつかの楽しみに…』
「…そっか。それもそうだね。」
彼氏が泊まってもなにも言わないのは
うちの親が特殊な方だって分かってるから…