第6章 層
「……かーわい」
研磨くんは優しくわたしの身体を起こし抱き寄せる。
力が入らないから、クタっと身を寄せる。
優しく頭を撫でながら、
わたしの呼吸が整うのを待ってくれてるみたいだった
…研磨くんの心臓の音に耳を澄ます。
もう、このまま二度寝しちゃいたい。
幸せな、幸せな時間。
「………穂波、こっち向いて」
身体の感覚がだんだんいつも通りになってきたころに
研磨くんに声をかけられ、見上げると
優しい、長いキスを一度、落としてくれる。
「おれの、穂波」
口数の多くない研磨くんからの、
キラキラした言葉が わたしの宝箱にいっぱいになってく。
『………大好き』
もう、なにを話していいのかも
なにをするべきかもわかんなくなって
いま心にいっぱいになってる素直な気持ちを言葉にすることしかできない。
「…ん。おれも」
『…ん』
もう一度、優しくて深いキスを。
ゆっくりと唇を離して…
深呼吸。
「…買い物、行こっか」
『…うん。一緒に買い物、初めてだね』
ショッピングセンターとかじゃなくて、
商店街やスーパーで、日常でのお買い物が最初だなんて。
なんだかすごく、嬉しいな…
・
・
・
服を整えて、部屋を出る。
喉が渇いた…
ソファのとこには誰もいなくて、
お母さん達はテラスに移動して相変わらずやってる。
ほんとにいつまででも話してられるんだなぁって子であるわたしが微笑ましく思っちゃう。
お父さん達は、たぶんどこかで何かしてる。
周平達も一緒かな。
水を飲んで、シャワーを浴びに行く。
『研磨くんも、浴びる?』
「…んー、結構汗かいたし…浴びようかな…」
『…ん。一緒に入ろ』
「…ん。」
『…あ、着替え、取ってくる』
「…え、いいよ。毎回毎回」
『…んーでも』
「…その顔、周平達にみられたくない。」
『…ん?』
「………いいから。入ろ」