第6章 層
ー研磨sideー
日曜、午前中の半日練習が終わって、
部室で携帯を見ると穂波からメールが入ってた。
【研磨くん、お疲れさま。 今日周平が家に来るのだけど、研磨くんもどうかな?
疲れてると思うから、無理なく。カズくんもいるよ☺︎】
…確かに疲れてるけど、行こうかな。って思った。
周平もそんな馬鹿みたいにうるさいやつじゃなさそうだったし、
穂波の家で会った人たちにはBBQのときも疲れなかった。
電話で返事を済ませる。
「今日、これから穂波ん家行く。クロもいく?」
クロ「え?俺?」
研磨「穂波がクロもよければ〜だって」
クロ「なんの集まり?」
研磨「前に学校に来てた△○高のやつが家に来るって。カズくんも」
クロ「…あぁ、確か幼なじみの?」
研磨「うん」
クロ「……………。いや俺行く意味ある?」
研磨「意味はないけど、暇ならくれば」
クロ「……………。じゃ、行こっかね」
研磨「…ん」
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『研磨くーん!クロさーん!』
いつもの笑顔で大きく手を振る穂波。
かわいいな。
焦げ茶のグラミチのロングパンツに黒いTシャツ。
黒のヴァンズのスニーカー。
髪の毛は無造作にお団子にされてる。
首筋には赤い斑。
カズくんもおんなじような服の色で、姉弟みたい。
小さく手を振って歩いていく。
「…カズくん、久しぶり」
カズ「…カズマ。カズマでいい」
研磨「…ん。じゃ、そうする」
本人目の前にして君付けで呼ぶのがちょっとこそばゆい感じがしたとこだった。
クロ「2人はスケボーデートしてたの?」
カズ「…デートじゃない。練習」
クロ「練習も2人でやればデートです〜 カズくんもまだまだかわいいとこあるね」
カズ「…そうなの?穂波?」
『…うーん。人によるかな?わたしとカズくんは今度初デートだね』
研磨「…?」
クロ「おやおや〜?」
『今日ね、10段のステア……階段をね、跳んだの。技も入れて。あ、カズくんがね』
研磨「…ん。」
カズ「やる前に成功したらデートしてって頼んだ」
研磨・クロ「!」
カズ「…で、成功したから。今度デートする。1日。研磨、穂波借りるね」