第2章 芽生え
ー研磨sideー
インターハイの予選が終わって、バレー部の三年生が引退した。
今日からテスト一週間前、部活はオフになった。
勉強はすごくできるわけじゃないけど、できなくはない。
だからテストは別に苦じゃない。
朝練がないので、いつもより遅い電車に乗って学校へ行く。
「ん?あれ、かわい子ちゃんじゃない?
ていうか研磨、あの子の名前そろそろ教えてょ」
言われた方をみてみると、穂波さんが乗車してきた。
あ、久しぶりに髪が濡れてる。
制服に濡れた髪ってなんかエッチだな…
比較的空いてたのもあって、穂波さんと目があった。
にこっと、いつもの綺麗な笑顔を見せてこっちに来る。
『研磨くん!おはよう!
電車で会うの初めてだね!』
「…うん。…おはよう。
いつもこの駅から乗ってるの?」
『いつもは〇〇駅(3つ前の駅)から!
今日はちょっと、いろいろあって。あ、クロさん、ですよね?
いつも研磨くんからお話を聞いていますっ』
「え!そうなの!うれしい〜 黒尾鉄朗。よろしくね。
こっちは研磨に話聞かせてって毎日言ってるんだけど、
全然、情報くれないもんで、、、名前聞いてもいい?」
クロはそう話しかけながら、何事もないように、
穂波さんと場所を変わる。
角に穂波さんが来るように。
変な人たちから守れるように、だと思う。
すごいな、クロ。
『運天穂波です。
場所、気がついたらスイッチしてる! ありがとう』
穂波さんは、いつものあの屈託のない綺麗な笑顔でクロに言う。
なんだかちょっと心がざわざわする。うるさいな。
「穂波ちゃん!やっと名前聞けた〜
それでどうして穂波ちゃんの髪は濡れているの?
いつもと違う駅って言ってたし、、、朝帰り?彼氏〜??」
『あはは!朝帰りじゃないけど、彼氏といえば彼氏かも!笑』
…え?