第37章 powder
あとは、ひじきの煮物、人参しりしり、きんぴらごぼう。
ヤンニョムチキン、ドライカレー。
それから手作りの味噌と鉄火味噌。
梅干しは冷凍では送れなかった、って小さく手紙に書いてあった。
なんなんこれ、穂波ちゃんは俺の何?
彼女ちゃうかったらなんなん?
ばあちゃんか?
もうこんなんされたら、
浮気相手ってことで認められたんちゃうって思ってまうやんな。
「ツム、勝手に食うたら殺すぞ」
「お前に言われたないわ!お前こそ独り占めしたら許さんからな!」
「俺は勝手に食うとかせーへんもん。食べ物の恨みは怖いからな。
いっつも勝手に食うんはお前やろがい」
「………」
「一緒に家におる日に食う。これ絶対の約束やで。
ほんで解凍とか揚げるんは全部俺がする。ええな?」
「えーよ!俺は穂波ちゃんの手作りのもん食えるんならなんでもええ!」
「じゃあ、あれやな。日曜、半日練習やからそん時やな」
「えっ!日曜?まだ3日もあるやん!今日木曜日やで!」
「今日はケーキ食うたらええやろ、このフォンダンショコラ食うで、メシの後」
「おー!ええな!」
「な、中からチョコとろりやで。 なんや食べる前から絶対美味い気するよな」
「ほんま、それやて!」
2人で冷凍庫に入れに行って、
母ちゃんに絶対使ってくれるなと再三念を押して、
母ちゃんが作ったメシを食う。
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【治くん。 いきなり送りつけてごめんね。
バレンタインのついでにお惣菜も送りたくなっちゃって。
ちょっと手間を頂戴するのもあるけど、空腹の足しになれば嬉しいです。
治くんとご飯の話するの、大好き。 またなんでも聞かせてね。 穂波】
フォンダンショコラ食いながら手紙読んでんけど。
なにこの子。 マジで好きなんやけど。
俺これ何回思ったらええの?
空腹の足しって、なるに決まってるやん。
それどころじゃないっつーねん。
心も満ち満ち満たされるわ。
ホワイトデーなに返したろうかな。
っつーか、ケーキめっちゃうまい。