第36章 たぬき
ー研磨sideー
…寝た
ぷすー ぷすー って音させながら寝てる。
おもしろい生き物だな、ほんとに。
萌さんか朔さんが寝室に連れてくものだと思ってたら
ハルくんの昼寝布団を持ってきてって萌さんが朔さんに言った。
「研磨くん、ここに寝かせてもらっていい?」
「え」
「そのまま置いちゃうと起きる可能性が高いから、
一緒に横になるみたいにしてじわじわ身体を離すとうまく行くかも。
普通に寝転がらせても寝てることがほとんどだけど、
多分ハル、研磨くんにもっともっと本読んでもらうつもりだったと思うから、
少し刺激を与えると気合でまた起きちゃう気がする」
「………」
気合い? ちょっとよくわかんないけど、
まぁ起きたら起きたで本読むくらいなら別にどうってこと。
「じゃあ、ちょっと私あっちに行ってるね」
部屋の灯りを落として間接照明だけにして、
萌さんはリビングとの仕切りを閉める。
一緒に横になって、じわじわ離れる…か。
小さい布団の真ん中にハルくんがくるようにして一緒に横になる
ゆっくり ゆっくり…
横になったーと思ったらハルくんがもぞもぞと動く。
なんだろこの感じ。変なの。妙な緊張感だ。
もぞもぞが終わったとこで頭の下になってる腕を…
抜こうと思うんだけど…
いやちょっと無理。
抜ける気がしない。
すごい敏感にもぞもぞ動く。
こっちが少しでも腕を抜こうとすると。
まだ眠りが浅いのかな。
…ちょっと待ってみればいっか。
「ふぁぁぁー……」
車で寝たのにな… なんかおれも眠い…