第36章 たぬき
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それからしばらくおれはゲーム、
穂波は眼鏡かけてパソコンに書き込んでた。
タタタタってキーボードを打つ音が小気味いい。
…なんか、今までと違う過ごし方だ。
ちょっと大人っぽいっていうか。
…おれはゲームしてるけど。
でも穂波はどこまでも穂波で、すき。
やってることは違うけど、変わらない。
「SAT…だっけ? あれは?勉強しなくていいの?」
『いやーそれも早いうちに点数取っちゃってラクになりたいけど』
「…笑 言い方」
『周平がオフになるの待つ、その勉強は。
だって高三の終わりまでの段階のテストだからさ。
とりあえず一回、どんなもんか感触掴みたくて受けてみる』
「科目は?」
『SAT自体、2種類あるんだけどね、
一つはリーディング、ライティング、数学の3つ。
もう一つは5科目20分野から3つ。
大学が勧めてるのは、数学2と理系の何か選考に関するやつ。
こっちは絶対受けなきゃいけないわけじゃないけど、
受けて足しになるなら受けようと思って』
「ふーん」
…やっぱ穂波楽しそう。でも、力は相変わらず抜けてる。
『だからまぁ、まずはTOEFLで。
大学の提示してる最低スコアは普通にとれると思うけど、
せっかくだしもっと上いきたいよね』
穂波はニヤって笑って言う。
こういうこと思ったりするんだ。
知ってたような、知らなかったような、
穂波の勝気な一面にドキッとした。
…やば。
欲しい。