第35章 fun
ー穂波sideー
やっぱり会いたい!ってなって。
研磨くんにLINEするとまだ既読がつかなくて、
きっと体育館にいるのかなって思ってとりあえずタクシーに乗った。
学校にいるよ。って返事が途中で来たから、
いつものカフェで降りて、サモサを持ち帰り用に揚げてもらった。
一人一人に試合の後にも挨拶したけど…
でも今感じてるもっともっと深い何かを
うまく言葉にはできないけど、ありがとうとしか言えないけど
もう一度伝えたかった。
サモサを食べて、それからみんな思い思いの物をコンビニで買って食べて。
名残惜しい感じがありながらもそれぞれの方向に帰っていった。
今は、クロさんと研磨くんと3人で電車。
駅の前で、わたし、やっぱ邪魔!って思って、カフェに逃げようとしたんだけど
2人にその考えは見透かされて、一緒に帰ろうって言ってもらって、今3人で座ってる。
研磨くんはいつも通りゲームをしてるし
クロさんはいつも通りそこにいる。
「穂波ちゃん、それではこれから俺のカテキョよろしくね♡」
「…」
「研磨がいない間にあんなことやこんなこと教えてね♡」
「…」
「俺からも教えれることがあれば何でも教えるからね♡」
「…」
研磨くんは無視、なのか何なのかノーリアクション。
わたしはにやにやと笑いながら、クロさんに頷いてる。
「ねぇ、穂波」
『…ん?』
「プロポーズ、なんて答えた?」
『へっ!?』
「治くんにされたんでしょ」
『あぁ、うん?』
「なんて答えた?」
『…何も答えれてなかったかも。 というか、治くんにありがとう言えてない…!』
「…」
『…あんまりに突然で、冗談みたいな返ししかできなかったかも。出会って数分だったし』
「ふーん」
『…』
「…あ、もう良いよ。気にしないで」
『…?』
…なんだったんだろ。
突然の質問。そしていつもと違って、そんなに掘り下げずに終わった。
そりゃそうか、プロポーズしたなんて言われたら気になるよね。
でもちゃんと返事しててもノーしかないのに。
してなくても伝わってるし。
そうしてクロさんとまたぽつぽつと喋りながら、
わたしは降りる駅になったのでまたねをしてわかれた。
明日からクロさんは研磨くんより早く帰るのかぁ…
不思議な感じ。