第35章 fun
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梟谷と烏野のみんなにバイバイして、
帰る前にトイレに向かう。
「穂波ちゃん!」
『あー!古森くん!お疲れさまぁ!』
「うん!なんかチラチラ見えたけど、いろんな人に絡まれてなかった?
あれが穂波ちゃんの標準?」
『あはは!そうかも、行き当たりばったり、旅は道連れ、世は情け……』
「え?」
『ううん、なんでもない、ちょっとハイになってて。みんなの試合がすごすぎて』
「うん」
『古森くんのレシーブ、何度かちらちらみたんだけど』
「ん?」
『危険でした』
「え?」
『危険なまでにスマートでかっこよくて色っぽかった』
「…あはは!ありがとー! じゃあ、またどっかで会おうねー。インハイ予選とかかな?」
『うん、またどこかで。声かけ…』
「…ん?どうした?」
『…んーと……』
「え、なんで急にもじもじするの。これこそ危険じゃん」
『…あ、えっと、やっぱり、なんでもない。また会えたら、その時に!』
「…? うん、じゃあね!」
もっと知りたいなぁって気持ちって倫ちゃんが言ってた。
そうなってくると、キリがないんだ。
もう、みんなのこと知りたい。
古森くんのことももっと知りたい。
でも脈絡もなく連絡先を聞くのには慣れてなくて、どうにもどぎまぎした。
…ふぅ
深呼吸。
…よし帰ろう、と思ったところに
後ろからぽんっと両肩に手が乗せられる。
「穂波ちゃん」
覗き込むようにして後ろ上の方から顔がにゅんって出てくる。
『幸郎くん!』
「…あはは!かわいい。かわいい顔するなぁ」
『お疲れさま、すごく良い試合見させてもらいました。ありがとう』
「いえ、とんでもない」
『好き』
「え?」
「えええええええええええええ!?!?!?!?」
『えっ!?』
幸郎くんの斜め後ろからにゅんっと顔を出して
大きな大きな声を出すのは、あの、鴎みたいな目の人。
『あ、お疲れさまです。本当に感動しました』
「穂波ちゃん、彼は星海光来くん。
光来くん、こちらは穂波ちゃん」
『ほしうみこうらい…』
「………』
『…えええ』
「「…?」」