第35章 fun
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梟谷が勝った。
これで、準決勝進出ってこと…だよね?
光太郎くんや京治くんのところに駆けつけたい。
…でももう実はBコートで烏野の試合が始まっていて。
そして 20-25。
1セット目は対戦相手が先取。
対戦校にはよくみると幸郎くんがいて。
そして多分同じチームにユース合宿の日に見かけた鴎みたいな目をした白髪の人も。
…なんだか、オーラがすごい。
そっかこれは準々決勝。
より今回の大会で研ぎ澄まされてるチームが残ってるんだもんな。
さっきの狢坂もすごかったし。
幸郎くんの高校は… 鴎台。
やだ…可愛い名前。長野なのに鴎なんだ。鴨じゃなくて
「何考えてるの?」
『長野県だけど鴎台なんだなぁって。鴨じゃないんだなぁって』
「なんそれ」
『…あ、倫太郎。いつの間に』
「さっき。席空いてないし、でもここ空いとったし」
『そか、まだ時間大丈夫なの?』
「うん、大丈夫」
『…ブロック、すごいよね』
「そうだね、ブロックすごいな」
うん、倫太郎、ラク。
すごい地元感ある。
言葉のイントネーションも違えば、いろいろは違うけど、でも。
なんていうか具体的な地元じゃなくって、でも、よく知ってる感じ。
しばしだんまり、試合を観る。
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『山口くん、蛍くん…!』
「………」
…って今、避けたんだよね?
『倫太郎、今ってさ、蛍くんは避けたんだよね?』
「あぁ、避けたな」
『…ほぉぉ サーブで崩してた?』
「そうだね」
きゃあああ…
烏野に点が入って、25-22。
2セット目取り返した。
『わたしね、そんなにバレーのこと知らないの』
「へぇ、そうなん」
『でもさ、鴎台って、なんかすごいね。なんていうか、飄々としてて、すき』
「…飄々と 確かになんか、そうとも言えるな。
隙がなくて北さんみたいって思ってた」
『…北さんかぁ わたしはどっちかって言うと、倫太郎っぽい』
「………」
『…倫太郎ってさ』
「それって…」
『…ん?』
「俺のこと好きってこと?」