第35章 fun
ー穂波sideー
3人の中で妄想が膨れ上がり
それはまるで、
研磨くんは高校生にしてヤクザの若頭だとでも言わんばかりの設定になってるような…
頭がキレて、非情。
相手を陥れる過程をゲームのように楽しむ、的な。
いやいやいや、これは逆に会ってもらって誤解を解かなきゃ。
いやでもそんなの研磨くんは望まないだろうし…
そもそも研磨くんくったくただろうし、こんなの必要ない…
っていうかこの4人がぴしって待ち伏せしてたらそれこそヤクザさんみたいじゃないか。
信介さんが頭で。 …なんでこんな任侠展開に……
『ふっ 笑 あはは…』
「だから何で笑うんやし… 怖いわ」
「…でもあれやな、何が怖いんか知らんけど、
怖い怖い言うて、好きな女に後始末押し付けるんとかダサいな」
信介さんの妙に凄みのある言葉。
「もうええわ。俺が頭下げてくるわ。
ほな穂波ちゃん、一緒にいこか」
『あっ うん?』
「「待ってください!俺も行きます」」
綺麗にハモる侑くんと治くんの声。
妙に太く腹の底から出てて、なにこれ本当に任侠もの…?笑 笑えてくる。
「角名は?行かんのんか?」
「…はぁ、行きますけど」
乗り気じゃない倫太郎の声。 これも笑える。
とばっちりだよね、うん、そうだよね。
そんなよくわからない問答を続けた末歩き出すと鞄の中で携帯が鳴る。
『…ちょっと、電話出るね』
たたたっと先に走って観客席をでる。
『もしもし』
「…ん。声聞きたかっただけ」
『うん。研磨くん、かっこよかった。鼻血出た』
「…え」
『研磨くん、お疲れさま』
「…ん。 弁当食べてから会える?」
『もちろん!』
「…穂波は?ごはん」
『軽いもの持ってきた』
「…一緒に食べる?」
『うん!』
「じゃああの看板があるあたりに居て。迎え行く」
『…ん』