第35章 fun
ー侑sideー
北さんのばあちゃんのことやって。
気ぃ抜けるわ〜
だからって俺のこと好きになってくれるわけとちゃうけども。
『あぁ…ちょっと…』
穂波ちゃんは急にそわそわし始めた。
「なに?どーしたん?」
『いやもうちょっと… どきどきが…』
俺に? なわけあるかい
「何?次彼氏の試合でもあるん?」
『…うん』
「…一緒にみる?」
一緒にみてどうなるわけでもないけどな…
一生懸命観てるん邪魔するんは嫌やしな
『…それはどっちでもいいよ。わたしはただ観てるだけだから』
「ほんなら俺もただ隣で観るわ。コートどこ?」
『×コート』
「俺らがやるはずだったとこやん」
『…ん』
「どこの応援するん?」
『…んー、応援はどっちもかな。どっちも友達しかいない』
「彼氏は?」
『音駒高校だよ。わたしも音駒なの』
「そーなん…試合観てないなぁ… ポジションどこ?」
『おしえなーい 純粋に試合を楽しもう』
「ふーん まぁせやな。 ほな、行こか」
角名も一緒に観客席に向かう途中でサムも来て、
結局サムと俺が穂波ちゃんをは挟んで座ることになった。
サムは再会したらハグしてくれるんちゃうん?とか言うて、
穂波ちゃんにハグせがんどった。
穂波ちゃんは俺にしたみたいにぼすんって抱きついて、
かっこよかったよ〜とか普通に言うてた。
この子、あかん。 天然たらしや。 いやらしないとこが、ほんまにあかん。
音駒高校ってどんな高校や?
よぉ知らん。
どいつやろか…
あの黒い髪の人相悪いやつやろか…
隣におるんは想像できるけどな。なんか大人な感じや。
ほんでも北さんのばあちゃんに一目惚れするんやったら…
あの坊主頭の仏顔の人やろか。
治「俺、わかったわ。穂波ちゃんの彼氏」
『およ』
角名「じゃあ当てっこしよか、俺も今絞っとるとこやでもうちょいまって」
侑「ほんまに?俺全然わからん」
治「わからんのんやったら、言わんでええわ」
侑「いやでも待って、俺も絞るで』