第1章 出会い
放課後。
今日は古典フラのレッスンの日。
帰る前に、席に座ったまま携帯をいじってる研磨くんのところへ行く。
『研磨くん!』
「…穂波さんは、もう帰る?」
『うん、今日はフラのレッスンがあるの。
今朝、話しかけてくれて、生物室への行き来の移動も一緒にできて嬉しかった。
今日も部活頑張ってね。研磨くん、また明日ね!』
「あ、うん…おれも。
…なおさんも、レッスン…いってらっしゃい。…またね」
…いってらっしゃい!?
いってらっしゃい!だってっ
きゃーーーー
もっともっと研磨くんのこと知りたいし
そばにいたい、って言う気持ちが強く、なってく。
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レッスンの後
ストレッチをしながら先生とお喋りをする。
古典フラは、力強くって、
踊っていて、自然と繋がる感じがすごく強い。
お腹の中にくっと力が宿る。
CDではなく、先生が伝統的な太鼓?で奏でるビートとチャントに合わせて舞う。
そんな理由もあってか、古典フラの影響も先生が日本にはあまりいない。
先生にはお子さんが二人いて、
佇まいが穏やかでどっしりとしていて、それでいて柔らかい。
綺麗。
先生に、何かいいことあったの?と聞かれた。
『会いたかった人に、会えた気がするんです。
すごく大事になるだろうひと』
「そっかぁ、よかったね。益々綺麗になっていくね〜」
『うん?そう、なんだろう、その人とどういう関係になっていくのか、
その人との関係が、どう呼ばれるものになっていくのか、
なにを自分が望んでるのか、まだそれはわかんないんだけど、そんな状態もまた楽しくって。
今は、ただただじゃれついてる犬みたいに、その人の側にいたい。もっと知りたいって思うんです。
知りたいって、言葉を交わすだけじゃなくって、
間とか空気感とか、沈黙とか、全部を味わって知っていってるところ。
こうして言葉にするとわたし、変態!笑』
「言葉にしてみるとなかなか突き抜けてるようにもとれるけど、ちゃあんと解るよ。
全身で目に見えない物、耳で聞こえない音も味わっているんだよね。
そんな感覚で向き合って、本当にしっくりくる人に出会えたら、
それは、それだけで あぁ薔薇色の人生!だね 笑」