第31章 ガーベラ
「…目が泳いでる」
『…んとね』
「………」
『研磨くんのこわいくらいかっこよくて策士なところ』
「…策士」
『…ん わたしは研磨くんの虜です 出会った時からずっと』
「………」
『…ずっと? んー どんどん深くなっていく』
「…ん もういいよ あんまり可愛いこと言うとゆっくりできなくなるから」
『………』
「ゆっくり ゆっくり イかない程度に嬲ろうと思ったのに…
穂波予想外のとこでイっちゃうもんな。 イかせない方が難しいね」
『………』
嬲るって… っていうかやっぱほんと策士…
またも研磨くんが予想だにしていないだろうところで
わたしの内側で子宮がきゅうとするのがわかった
「…でも今日はゆっくりする 穂波はそのまま何もしないで。
おれだけに集中してて」
合宿での練習試合のタイムのとき、
研磨くんがみんな指示を出すのを聞いた。
感情のこもらない、淡々としたわかりやすい指示。
頑張ろうとか、踏ん張ろうとか、気合いとか…
そういうざっくりした単語は一度たりとも出てこなかった
それでも研磨くんの声はいつもどこかやわらかい
それが研磨くんの最大の魅力であり魔力の一つ
あの調子で、淡々と的確にわたしに指示を出す
何もしないで。おれだけに集中してて。
ゾクゾクした。
それだけでジュクと身体から溢れるのがわかった