第29章 山茶花
ー穂波sideー
文化祭一日目が終わった後、
体育館で照明、音響、実行委員の諸々の人たちと、
出演者で通しリハーサル。
練習着に着替えてから
顔合わせと流れの説明を聞きに集まると、
さっき屋上のとこであった一年生が3人いる。
「ぅわ!穂波さん!」
「え、なに?制服じゃないってことはダンス?え、ダンス?」
『…笑 うん、ちょろっと踊るよ』
「ぅわ、え、ちょっと待って、やっぱさっき思ったこと言っていい?」
「めんどくさ…」
「波寄せて、穂波さんに歌ってもらうのよくない!?」
「………」
『…?』
「「「ぅおーーーーーー!!」」」
「いやそれ、すげーいいかも。委員会の人オッケーくれるかな」
「選考通ってる人通しでのジャムとかコラボ的なのはオッケーって言ってなかった?
…もちろん、それまた委員会の人らに見てもらわねーとだけど」
『あ、うん。ノブくん…って他の枠でダンスで出る人と、
わたしの持ち時間に一緒に踊ることにしたのオッケーだったよ』
ジャズダンスで、ノブくんが考えた振りを明日踊る。
実のところ、結構な詰め具合でやったけど、
ノブくんのセンスは抜群で、踊りたい。と思う振り付け、世界観で。
ジャズダンスは中3まで習ってたのだけど、
やっぱまたやりたいなって思ってたからとてもいいきっかけにもなってる。
研磨くんに触らせないでって言われたけど、
一度わたしが横回転するとこがあって。側転?
その時にノブくんが腰に手を添えてもちあげるとこがある。
きっとそういう意味の触るじゃないだろうな…とは思いながら。
一応伝えておいたけど…
「マジだ!穂波さん、波よせてって曲知ってる?」
『…small circle of friendsの?』
「そう!でもアレンジはクラムボンで」
『あぁ、好き。大好き』
「じゃあ、それ!歌ってくれない?ヴォーカル部分」
『…へ? わたし?』
「俺ピアノ弾きながら歌う予定だったんだけど、
多分、いや絶対穂波さんの声いいと思う」
『…ピアノ弾けるんだ かっこいいね』
ギターもベースもドラムもかっこいいけど、
高校のバンドでピアノなんか弾かれたら女の子たちずきゅんだろうな。