第28章 しらす
10月26日(金)
『翔陽くんからメールきた?』
冷たい雨が降ってる。
今日の試合で烏野が勝っても負けても、
日曜日がおばあさんの誕生日だからいい機会だし、と
穂波は今日のレッスン後に新幹線で宮城に行く。
今は、教室で弁当を食べてるとこ。
「いや、来てない」
『蛍くんから聞いたんだけどね、昨日の試合、遊児の高校とだったんだって』
「…へぇ そっか、遊児の高校、負けたんだ」
烏野が昨日1日目を勝ち進んだってことは
朝練の時に監督が言いに来てくれた。
『うん、遊児からも電話きた。悔しそうだったけど、なんか声がかっこよくなってた』
「声がかっこいい…」
『でもさ、烏野高校と交流があることを言ったらね、第一声が、潔子さんの連絡先知ってるー?って。
やっぱどうしても軽いんだよなぁ… お猿さん感 笑』
「あぁ… でも穂波とは全然違う感じだね」
『…あの知的で清楚で色っぽい感じはわたしには程遠い』
「…ふ 笑 おれは穂波しか興味ないけど」
『……///』
「でも穂波も知的なとこもあるし、清潔感もあるし、色気はすごいし」
『色気はすごいって…』
「でも、品があるよ穂波は。品のある色気。
多分宮城の家柄が染み込んでるのかなって、勝手に想像したりする」
『…ん もういいよ、研磨くんありがとう』
「月島とは日曜どこで会うの?」
『…ね、ほんとに会うのかな?試合の後でさ、疲れそうなのにね』
「まぁ、でも会いたくなる気持ちもわかるし」
『会うなら仙台でって言ってた。でもまだ日曜の練習の有無がわからないんだって。
なのでまぁ、未定だよ。 また向こうから電話するね』
「…あぁ、そっか。うん、電話して」
『うん』
「あとおれも、今度一緒に行かせて」
『うん!一緒におばあちゃん家行こうね。もう結構寒いんだろうなぁ…』
土曜のレッスンは先週の日曜に振り替えてた。
日曜の夜か、もしかしたら月曜の朝の新幹線で帰ってきてそのまま学校に来るって。
こういう時のこういう選択肢が普通に出てくるあたり、
おれからすると旅慣れてるなーと思う。
烏野、春高行くかな。
勝敗は確かにちょっと気になる。