第27章 アップルパイ
10月13日(土)
研磨くんのお誕生日は平日なので学校で会えるけど、
それとは別で2人でお祝いしたいなぁと、
明日研磨くんの部活が終わったら会うことになってる。
明日は午前の半日練習の日なので、午後から。
なにしようかなぁ、と考えていたら
「穂波の弁当食べたい。最近食べてない」とのことで、
お弁当を作って石神井公園で食べることになった。
天気予報を見ても快晴、と言っているし、
秋晴れの気持ちいい日になりそうで嬉しい。
今日はレッスン後にパイ生地を仕込んで冷凍庫に入れておく。
アップルパイは研磨くんのお母さんのレシピじゃなくて、
他のレシピで、持ってる本の中で一番オーソドックスなやつで焼くつもり。
研磨くんのお母さんのレシピは、
研磨くんが一人暮らしとかして実家から離れて暮らすようになった時とかに
たまに作りたいなぁとか、妄想してる。
プレゼントは思いつかなくって、
でもおもしろそうな展示会を教えてもらったので、
公園の後にギャラリーへ行こうかな、と思ってる。
そこでもしピンとくるものがあったらそれを、とか…
ギャラリーへ行ってから家に帰るから、
夕飯はほとんど明日の午前中のうちに仕込んでおこう、とか。
頭の中は、わくわくなリストでいっぱい。
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10月14日(日)
朝起きて、お弁当を作って、夕飯の仕込みも終わらせてから
着替えて駅に向かう。
高校のある駅で待ち合わせて、歩いて公園まで行くことにした。
「穂波お待たせ」
振り返ると研磨くん。
その向こうに手を振りながら改札に向かうクロさんが見えた。
クロさんに手を振って、研磨くんにぎゅってする。
「え」
『昨日からずっと研磨くんのこと考えてたから、会いたくて会いたくて。
今日一緒に過ごしてくれてありがとう』
「…ん」
研磨くんは私服に着替えていてそれがまた予想外できゅんとする
黒いテーパードパンツにオーバーサイズのグレーのフーディー、黒いスニーカー。
ノースフェイスの薄手の黒いアウターを手に持ってる。
部活終わりだからいつもの白いリュック。
いつもいつもかっこいい!