第26章 手のひら
ー研磨sideー
朝ごはんは穂波のとこに行って食べた。
昨日の夜は会えなかったし…
…ってなんで合宿だと夜会えないのが長く感じるんだろ。
普通のことなのに。
舞茸の炊き込みごはん、ふろふき大根、蓮根きんぴら、
セロリとささみの和え物、焼き鮭、里芋と油揚げの味噌汁、りんご。
夏の合宿よりほっこりするのが多い。
秋だから? …おいし。
今日の夜は影山とストレッチするかも、って言ってた。
穂波は赤葦とか影山は圏外っていうか、
自分にそんな気起こすなんて思ってないって思ってて。
今思えば、月島のこともゲイかもって思ったりしてたし…
ほんとこういうことすごい鈍いなーって思う。
おれとの時はどうだったんだろ。
なんかお互いに近付いていってる感じがあったのかな…
実際、影山についてはバレーに向かってる矢印の一部なのか、
その矢印が穂波に向かってるのかはよくわかんない。
多分影山もよくわかってないんだろうな、と思う。
…え、それって結構危険な感じがする。
おれも今日穂波と一緒にいようかな。
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2日目の練習も終わった。
今日は誰も自主練しないみたい。
…何でかはよくわかんないけど、ネット片付けてた。
翔陽とボールを片して、一緒にご飯を食べに行く。
「研磨たちはさ、その、デ、デートとかすんの?」
「デート…」
「どこ行くんだ?東京だといくとこいっぱいありそうだな!」
「…んー 例えば?」
「買い物とか!クレープ食ったりとか?水族館?動物園?とか?わかんねーけど!」
「あー… どれも行ったことない」
「へぇ… 学校で会うだけか?」
「いや、そんなことないけど… 家とか公園とかアイスは食べに行くかな」
「へー なんか普通だな」
「うん、別に普通だよ」
「家とか公園とかアイスか… い、家?! 家っ あ、ゲームすんの?」
「うん、ゲームもするけど」
「………」
「………」
「えっ!?」
「え、なに翔陽」
「いっ いやっ なんでもないっ」
「…映画みたり、ドラマみたり、昼寝したりとか。まぁ普通」
「あっ そっそうだよな! あー焦ったー」
「………」
…よかった、うるさくならなくて。