第26章 手のひら
『はい、お茶どうぞ』
穂波さんは一度皿を下げてからこっちに戻ってきて
立ったままで淹れなおした紅茶を僕のカップに注ぐ。
蛍くんは特別なひとだから… だって
「…どうも。 そこからそのまま僕のことハグしてくれます?」
『へ?』
「願い事2つ目です」
『あ、はい。 心を込めて。16歳、おめでとう』
「………」
躊躇なく僕の頭を抱きしめてくるけど…
胸に押しつけられるわけで。
…理性吹っ飛びそう
『…あ』
「…?」
『わ』
「…え?」
何か思い出したようだったから見上げると、
僕を見下ろして、 わ とだけ言った。
穂波さんをこうして見上げるのって新鮮だな。
…腕が僕から離れてく。
もう終わりか、と思ったら穂波さんは僕のメガネを両手でそっと外した。
それからさっきより強くぎゅうと抱きしめてくる。
…ダメだもう、無理。
脚を伸ばし、穂波さんの脚の間に両脚ともいれる。
それから腰をぐーっと抱き寄せると僕に跨る形になる。
『あわわわわ どんどん脚が開いてく』
「…笑 色気のないこと言わないでください」
『今色気は必要ないでしょ』
「いや、大いに欲してますけど僕は」
『………』
「お願い3つ目、いいですか」
『…はい、とりあえずお聞かせください』
「…なんなりとお申し付けくださいじゃなくて?」
『それはちょっと、言える空気じゃ…』
「…そのままここに、座ってくれる?」
『………』
「それか、最後までしちゃおっか? 選んでよ」
『…んと、もう一つ選択肢を』
「…しょうがないなぁ …じゃあ、手でして」
『蛍くん… どうしたの今日、なんかいつもより…』
「普通だと思うけど。こんな状況で16歳の男子が考えることなんて」
『………』
「選べないの? 迷うとこある? あ、もしかして全部したいわけ?」
『蛍くん〜〜〜』
「僕は全然、全部でもいいけど」
『座るね、いいの? そんなことしても』
「…笑 それは僕に聞くことじゃないけど」
『………』
「…焦らすね、ほら早くきてよ」
そのあと我慢できるかなんて保証はないけど。