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【ハイキュー】   “波長”   【孤爪研磨】

第24章 かぼちゃ


ー赤葦sideー




ふいに溢れでた、穂波ちゃんのいつもとは違う声に、
またも身体がゾクゾクとして衝動が抑えられなそうになった。

それでも、なんとか理性をかき集めて踏みとどまったが、
この理性が崩壊した時には俺は一体何をしでかすのだろうか。
知識では多少はわかるが、想像はつかない。

というか、俺の額を穂波ちゃんの顎に強打してしまった。
…首を触り、異様に顔を近づけ、挙句にぶつかってくるなんて、申し訳ない気持ちしかない








『ブッ 笑 …あははははは………笑』

「………」






穂波ちゃんはお腹を抱えて笑い出した。
前にも、見た光景。








『あーおっかしい。痛かったねぇ〜…… ひぃー 笑』

「…ごめん、大丈夫?」

『うん、わたしは大丈夫だよ。京治くんは、あっ、おでこ赤くなってる』






俺の額に手を伸ばし背伸びしてみようとしてるみたいだ。
膝をかがめ、少し顔の位置を低くする。






「…穂波ちゃんも、あご、赤い。青あざになってしまうかな」

『このくらい大丈夫』

「ごめん、せっかくの綺麗な顔に…」

『…ふふっ あははっ 京治くんは紳士だね。エキセントリックな紳士ってちょっと反則』

「…?」





穂波ちゃんは時折よくわからないことを言う。





『…ふふっ 気にしないで。 あ、青あざとか打ち身も、わたししょっちゅうやってるの』

「…?サーフィン?」

『…サーフィンもたまにあるけど、それよりスケボー。下手くそだからね、よく転ぶんだ』

「へぇ、スケボー…」

『だから、ほんと、そんな気にしないでね』

「…うん」

『………』

「………」

『…笑』

「…笑」





穂波ちゃんはどうもツボに入ってしまったようで、
そしてそれに釣られて俺も笑い転げてしまう。
笑いのツボに入るってことも今朝中庭で初めて経験した。
そして同じ日に、またしても、今。





少し落ち着いてから鍋に目をやると、
ぐらぐらと沸騰していたお湯が3分の1ほどにまで減っており、
こうなってしまうとちょっとした事でもおかしく感じてしまうようで、
また一緒になって腹を抱えて笑い合った。





この子といると安心すると同時に、笑うことが増えるな、本当に。




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